染屋の従業員ブログ#09
小川染色は、愛知県一宮市にある小さな染色工場です。『糸は色で豊かになる』の企業理念の元、無色の状態で届いた生地に色を乗せ、毎日たくさんの糸を出荷しています。
最近ではありがたいことに、工場見学をしたいというお問い合わせを多くいただくようになりました。
繊維や染色に興味のある方がいるのであれば、現場の声も発信してみよう!ということで従業員ブログを始めました。
小川染色のチーズ見本染色
こんにちは。チーズ見本染色を担当していますドウケです。よろしくお願いします。
同じくチーズ染色を担当しているイワタさんのブログ(#3)でも触れられていますが、チーズというのは、複数の穴が空いた染色用ボビンに巻かれた糸のことをいいます。
私が担当しているのは見本染色です。一言で説明すると現物(大量染色)の前の試し染めです。
ビーカー(色出し)の試験染めで大体の染料配分は決まりますが、ビーカー試験と染色機では浴比やポンプ等の条件が違うので、いざ染色機で染めてみるとビーカーと色が違うということがあります。
浴比:染色する糸の重量と染液の量の比率
そのためまず少量の糸を現物と同条件で染めて、取引先様が指定した色見本に近づくように調整し、最終的な染料配分を探るというのが私の仕事です。
ビーカーで気をつけること
仕事をするうえで気を付けているのは、できる限り指定された色見本に近づけることです。
例えば、一見真っ赤にしか見えない色でも、じっくり見てみると若干黄色や青色に寄っている場合があります。三原色の染料の量を調整し、色見本に近づけるということが大事になります。
私はこの仕事を担当しはじめて6年程になります。最初は色の極微妙な違いや特徴を読み取るのに苦戦しましたが、少しずつ分かるようになってきました。
たまに取引先様が急いでおり、ビーカーなしで染めてほしいという依頼がきます。これはつまり染色試験をせず一発本番で染色を成功させなければならないので、染色の腕が試されます。
ただ、CCM(Computer Color Maching)という測色機や過去の似た色の染色データ等を活用・調整して染料を用意することができ、希望通りの色に仕上がるととてもホッとします。
思うように色が出なかったり色ムラができたりと、難しいと感じることもありますが、色がしっかり染まった時の喜びも含めて、やりがいのある仕事だと思っています。