かせ 糸をぐるぐる巻いたもの ![]() |
チーズ 染色用ボビンに巻付けたもの ![]() |
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前準備 | かせ揚げ | ソフト巻き |
糸収縮の許容量 | 大きい | 小さい |
歴史 | 江戸時代から | 昭和40年代より |
作業性 | 人手が必要 | 機械化が可能 |
太さ | 太い | 細め、フィラメントにも対応 |
必要な水の量 | 多め | 少なめ |
染色時の糸の締め付け | 弱い | かせよりも強い |
染色液量 | 多め | 少なめ |
電力量 | 少なめ | 多め |
色ムラの状況 | かせの部位の差が出る | 内層・外層の色差が出る |
染色後の糸の表面 | 毛羽立ちやすい | 糸同士が押さえられ、乱れない |
品位・風合い | ふくらみがある | 光沢がある |
染色機 | オーバーマイヤー式 噴射式 回転式 |
糸をぐるぐると束状に巻いたものを「かせ( 綛)」といいます。
当社では、手編み毛糸に代表されるような太番手の糸をかせの状態で染色します。
かせ染色用の染色機はいくつかありますが、糸が持っているふくらみを最大限に引き出してくれる回転バック式染色機を用いた染色が当社の特徴です。
このかせ染色でのオーダー染色を承っています。
回転バックは、通常のかせ染色に比べ、浴比( 糸に対する染色液の量) が非常に高いのが特徴です。お風呂のような染色槽に入れたかせ糸は、豊かな膨らみを持った温かみのある製品に仕上がります。膨らみにおいて回転バックに勝る染色機はありません。同時に染色ロットごとの再現性・色ムラの制御が大変難しい染色機でもあります。
現在では回転バックは世界でも稀な存在となっており、国内において、回転バックを所有している染色工場はごく僅かです。
1. 糸の準備
2. 高温のお湯で染料の混合
3. 染色機で染色
お風呂のような大きな浴槽の中に、糸全体を浸します。
その際、浴槽の中で糸が暴れないように、かせの上下を竿で固定します。
ゆったりとした染色浴槽の中で染色液が交互に流れるようにポンプを動かすと、糸がゆらゆらと動きます。豊かな水量が豊かな風合いの染色糸に仕上げます。
4. 染め上がり
5. 脱水
6. 専用の乾燥機で乾燥
ウール・アクリル・ナイロン・シルク等の染色を得意とし、カシミヤ・アンゴラにも対応可能です。
意匠糸と呼ばれる、ループ・モール・提灯モール・ファー・フラッグ・タム・ラッセル・リング・リリヤーンなど特殊な形状の糸も、個性を保って染色できます。
かせ染色が太番手の糸をかせの状態で染色するのに対し、チーズ染色は短繊維・長繊維の細番手の糸を円筒状のボビンに巻き付けて染色する染色方法です。
円筒状の穴の開いたボビンに丁寧に巻き付けた糸を、おかまのような染色機で内側から外側まで均一に色を付けます。従来のかせ染めに比べて染色液の量が少なくて済み、高密度にまかれた糸は省スペースを実現できるため、生産効率を高めることができます。
弊社ではソフト巻きの工夫により、従来20%ほど収縮してしまうナイロンフィラメントの染色も可能です。
1. 糸をボビンに巻き付けた状態
2. 染色
3. 染色後の糸
綿、レーヨン、麻、ナイロン、ポリエステル、アクリル、各種混紡糸、
ペーパーヤーン(和紙糸)、ウール、シルク
当社は、長年にわたる染色加工によって培われた品質管理と色合わせの技術に強みがあります。そして、他の染色工場にはない、小ロット染色加工技術を有する小ロット染色装置を所有しています。
小ロット染色装置は弊社が独自に開発をしたものです。100~500gのかせを、1回の染色加工で同時に最大30色の染色ができます。
「必要な色を必要な量だけ」の染色加工は、不良在庫の発生を無くし廃棄ロスのリスクも一気に下げることができるようになりました。
さらに、染色加工コストも大幅に軽減しています。従来の染色材は、浴比が高く多量の水を使うため、消費エネルギーや水の給排水で高負荷が問題になっていました。小ロット染色機では、これらの問題を解決しています。
染色機 | 浴比(糸に対する染色液の量) |
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回転バック | 1:50 |
チーズ染色 | 1:12 |
小ロット染色装置 | 1:8 |