染屋の従業員ブログ#08

小川染色は、愛知県一宮市にある小さな染色工場です。『糸は色で豊かになる』の企業理念の元、無色の状態で届いた生地に色を乗せ、毎日たくさんの糸を出荷しています。

最近ではありがたいことに、工場見学をしたいというお問い合わせを多くいただくようになりました。

繊維や染色に興味のある方がいるのであれば、現場の声も発信してみよう!ということで従業員ブログを始めました。

目次

小川染色のかせ染色

初めまして、アニメ、ゲームが大好きな従業員です。

自分の仕事は、綛(かせ)という輪状に結束した糸の染色です。

小川染色では昔から回転バックという珍しい染色機を使用しています。アクリルやウール、ナイロン、あと混紡糸(色々な糸が色んな混率で混ざった糸)などの染色が可能です。

綛や回転バックについては以前にもブログで説明されているので、読んでみてくださいね。

回転バック

かせ染色の作業工程

まず、簡単にかせ染色の工程の説明をします。

  1. 糸を竿にかける
  2. 回転バックに糸を入れる
  3. 水、染料を入れ染色する
  4. 糸を出し、脱水、乾燥をする
  5. 出荷

これが大まかな流れです。

それではここからは、一つ一つの工程を説明していきたいと思います。

まずはじめに、染色屋にとって無くてはならないのは・・・糸です。当たり前のことですね。

糸を竿にかけるのは簡単だろうと思うかもしれません。

ですが実際糸を扱ってみると、糸により素材や重さが違ったり絡まったりと、意外に難しいのです。

糸は大体縛った状態(画像左)で袋に入っており、糸に腕を通して竿に掛けます(画像右)。

そして、竿に糸をかけてしわを伸ばします。

その後、伸ばした糸をスチームセットの機械に入れます。

スチームセット後は熱により繊維が収縮し糸が太く、短くなります。

この糸を回転バックに入れます。指定されたキロ数を染色機に入れれば準備完了です。

かせ染色の染料

染料は大まかに分けると赤色、青色、黄色の三原色です。

この三原色の中にも青色寄りの赤色や、黄色寄りの赤色、オレンジ寄りの黄色や緑寄りの黄色など、少しずつの色差でいくつか種類があります。

アクリルにはアクリル専用の染料、ウールにはウール専用の染料があり、それらを調合して必要な染料を用意します。

染料を量り終えたら、水を入れた窯に助剤とお湯に溶かした染料を入れます。

助剤(左)、お湯に溶かした染料(右)


あとは糸が入ってる機械を窯に沈めて染色開始です。

温度の上昇により、少しずつ染料が糸についていきます。

染色中の糸の画像がこちら。

ふっくらしていた糸に水分が染み込みスラっとしていますね。


また、染料の量によって染色時間が異なります。

少ない場合は短い時間で良いですが、多い場合は時間が掛かります。

その後、徐冷(糸を冷やす工程)をし、糸に膨らみをあたえます。

ここまでの工程を終えるのに最短で1時間半ぐらい掛かります。(工程によっては半日から1日掛かる場合もあります)

そして、出来上がった糸を染色機から出し、脱水機で水分を粗方とばし最後に乾燥機に入れて完成です。

以上が回転バックにおける染色の工程になります。

回転バックは大変古い機械で、国内で他に扱われている会社はほとんどないと聞いています。

手間はかかりますが、糸に負担がかからない染色方法だからこその風合いの良さ、膨らみのある仕上がりになりますし、絶やしてはならない大切な技術だと思っています。

大分、簡略化した説明になりましたが、回転バックの良さが少しでも伝わったらいいなと思います。

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